あなたの会社の薬品が元で少女が亡くなった!あなたならドウする?
「社長!!!
大変です!!
わが社の薬に毒物が混入していて
12歳の少女が死亡しました!!」
あなたが世界トップクラスの「製薬会社の社長」だとして
ある朝、社員が血相を変えて
こう叫びながら来たら、どうしますか??
これは、アメリカで実際に起った有名な
「タイレノール殺人事件」
です。
ジョンソン&ジョンソン(世界トップレベルの製薬会社)
の主力製品で国民薬とも言われていた鎮痛剤「タイレノール」
に毒物であるシアン化合物が混入されており
合計7人もの死者が出た・・・
一歩対応を間違えれば「ジョンソン&ジョンソン」は
世間の信用を失い、倒産しかねない、文字通りの
「危機的な状況」であった。
この時、ジョンソン&ジョンソン社は、会長の陣頭指揮の元
7名からなる「特別対応チーム」を即座に編成し
その基本方針は
1)第一に、
消費者の命を守る具体的な策を立て実行する。
2)第二に、
タイレノールの信用を守る為の対策。
であった。
タイレノールに毒物が混入し、その混入経路がジョンソン&ジョンソン社
での製造過程なのか、店頭なのか等詳細が全く不明の段階で
即座に、会長自らTVで会見し、全米の消費者に
「タイレノールは、危険なので飲まないで下さい。また自主回収しますので、お手元のタイレノールは安全を保障した薬と無償で交換します。」
と、宣言し、その後もありとあらゆるメディアを通じて
完全なる「情報公開」をし、捜査当局にも全面協力した。
125,000回に及ぶテレビ放映、専用フリーダイヤルの設置、
新聞の一面広告の手段でタイレノールの回収と注意を呼びかけた。
この回収には約1億USドル(当時レートで約277億円)の金額が掛かった。
事件発生後、毒物の混入を防ぐため「3重シールパッケージ」を開発し発売。
この徹底した対応策により、1982年12月(事件後2ヶ月)には、事件前の売上の90%まで回復した。
そのメディア公開数は、ベトナム戦争以来の回数に及び
話題性では、ジョン・F・ケネディー暗殺以来の規模になった。
危機に際して、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく
即座に「消費者の命を守る」ことを最優先し
自社の利益は二の次に出来たのは
ジョンソン&ジョンソン社の
クレドー(会社の信条・理念)に
【消費者の命を守る。】
ことが明記されており、経営層から全従業員に、この
クレドー【消費者の命を守る。】が徹底して浸透していたからだ。
その後、ジョンソン&ジョンソン社は、
毒物が混入しない「三重構造カプセル」を開発し、今では業界標準になっている。
また、ジョンソン&ジョンソン社は100万回に及ぶ
「説明と対策」のプレゼンテーションを全米で実施した。
対象は、一般消費者、医師、などあらゆる関係者に及んだ。
まさに
「災い転じて福となした」典型事例だ。
ジョンソン&ジョンソン社の「危機管理」とその理念、マインドは
素晴らしいモノがあるが、
これに、私たち個人が学べる事は
1)危機に際して、状況が不明確でも
「お客様の利益」を「自社の利益」より最優先して行動すること。
2)具体的な行動は、即座に間髪を入れずに実行すること。
3)情報は「隠し立てせず」全て迅速に公開すること。
☞これが自社に取って不利益な情報でも開示する。
4)「お客様の利益」を守れたら、次は「改善策」を徹底して行う。
「言うは易く、行うは難し」ですが
たとえ、自社が倒産したり、自分が破滅したとしても
「お客様の利益=命」を守れれば、本望だ、、
という「覚悟」が必要ですね・・・
私も、そうした「危機的」な場面で理想通り行動出来たか
完全な自信はありませんが、少なくとも
自分に不利益な事実でも、包み隠さず公開しつづける、ことは
常に出来ていたと思います・・
やはり「根本理念」=何のために当社は世の中にあるのか、
なぜ、自分はビジネス、営業をしているのか、、
がしっかりと根付いていないと、ちょっとした風が吹いただけでも
すぐ倒れてしまいますよね・・・
最初に
「なぜビジネスを立ち上げるか?」
をじっくり考え
「あなたのクレドー(信念・理念)」を確立しておくことが肝心です。